はじめに
PDCAサイクルとは、業務プロセスの管理手法の一つです。
このサイクルを回すことにより、業務の効率や生産の品質が向上するとされています。
今では、製造業だけでなく様々な業務で、経営から従業員レベルの業務まで広く応用されています。
今回は、このPDCAサイクルを、野球で活用するための方法について書いていきます。
PDCAサイクルとは
PDCAとは、Plan・Do・Check・Actionのそれぞれの頭文字をとったもので、
上の図のようにな順番でサイクルを回していきます。
Plan(計画)
目標を設定し、そのために何をするのか仮説を立て、施策をプランニングする(具体的な行動計画に落とし込む)
基本の5W1H(何をするのか・誰に対してするのか・なぜするのか・どのくらいの量を行うのか・いつまでに行うのか)を更に詳しく分解して考えていきます。
ここでしっかり要素分解を行わないと、
Checkの段階で、どんな要因によって、数値が上がったのかが、わからなくなります。
Do(実行)
計画をもとに実行する。
ここで大事なのは、計画した結果が分かるように実行することです。
Check(評価)
計画にそって施策が展開されているか、検証・評価を行う。
実行した結果が、良かったのか悪かったのかを判断します。
数値が「上がった」「下がった」だけでなく、なぜ上がったのか、下がったのか、その要因まで分析することが必要です。
誤差の可能性や、別の要因が混じっている可能性を検証することも必要です。
Act(改善)
計画に沿った実行が出来ていたのかを検証する。
実行した結果、この計画を続けるか・止めるか・改善して実行するかを考えます。
Actで大事なことは、次のPlan(計画)を意識した見直しをすることです。
高校野球でPDCAサイクルを回す
このPDCAサイクルの考え方は、野球でも応用することができます。
なんとなく意味なくキャッチボールをするのと、計画を持ってキャッチボールをするのでは、結果も成長速度もまったく変わってきます。
Plan(計画)
まず、自分の目標を具体的に設定します。
例:出塁率を3割にする
出塁率は、
出塁率 = ( 安打 + 四球 + 死球 ) ÷ ( 打数 + 四球 + 死球 + 犠飛 )
と式で表すことができます。
出塁率を上げようとすると、現実的には
・ヒットを増やす
・四球を増やす
のどちらかを考えることになります。
四球を狙うというのは、相手投手の依存度が大きいですし、
高校生で、狙って四球にするのは難しいので、
ここでは、ヒットを増やすための仮説を考えます。
・スイングスピードを早くする
・パワーを付ける
・動体視力を鍛える
・ミート力を上げる
・メンタルを鍛える
上げだしたらきりがありませんが、
できるだけ多く、仮説をリストアップしましょう。
リストアップが終わったら、今の自分の能力と照らし合わせて
どれが一番効果があるか、優先順位をつけます。
そして、そのための施策(練習方法)を考え、
また同じように優先順位をつけていきます。
Do(実行)
優先順位をつけたら、上から順に練習していきます。
ここで大事なのは、効果があったかどうか確認できるようにすること。
例えば、動体視力を測るテストがあったとしたら、事前にそのタイムを測っておくことが重要です。
Check(評価)
実行した結果が、良かったのか悪かったのかを判断します。
良かった場合、本当にその練習の効果が出たからなのか、コンディションやメンタル、他の能力の向上による影響ではないのか、を疑うことが大切です。
悪かった場合も同様です。
感覚とかではなく、なるべく定量的に評価しましょう。
Act(改善)
実行した結果が良かった場合、さらに良くなるよう改善していきます。
もっと効率的に、効果的になるよう改善しましょう。
また、この練習による能力の向上が頭打ちになってきた場合、または、その能力自体が、上がりづらいレベルにまで達した場合、中止して、別の練習、能力の向上を考える必要があります。
実行した結果が良かった場合、他の練習方法を考えましょう。
ここで大事なのは、
次のPlan(計画)を意識した見直しをすることです。
まとめ
中学、高校の野球では、やらされて練習している生徒や、指示待ちになっている生徒が多く見受けられます。
何のために、どんな能力を上げるのか、そのためにどのような練習をしたらいいか、を意識するとしないでは、天と地ほどの差がつきます。
仮説を元にアクションを起こして、その結果を見ていく。
さらに改善も加え、早いスピードでPDCAサイクルをたくさん回して精度を上げていく。
これらのことは、学校では教えてくれません。
部活動を通して、上手くなるために何をするべきか。
生徒一人ひとりが日々考え、努力することが大切です。